用語集

家賃保証会社

やちんほしょうがいしゃ

家賃保証会社とは、借主から保証料を受け取り、家賃滞納などの賃貸借上の債務を保証する事業者。連帯保証人を立てにくい場合の入居支援にも使われます。

家賃保証会社とは

家賃保証会社(やちんほしょうがいしゃ)とは、借主から保証料を受け取り、家賃滞納などの債務を保証する事業者です。借主が支払えない場合、保証会社が貸主へ立て替え、その後に借主へ求償します。

国土交通省は2017年10月に「家賃債務保証業者登録制度」を開始しました。任意登録ですが、登録業者の情報は判断材料になります。

国土交通省「家賃債務保証の現状」では、2014年度時点で賃貸借契約の約97%が何らかの保証を求め、約6割が家賃債務保証会社を利用していると整理されています。2020年調査では、管理会社が個人の連帯保証人に代えて家賃債務保証業者を利用させるケースが約8割と報じられています( https://www.re-port.net/article/news/0000064700/ )。登録家賃債務保証業者一覧では、2026年3月31日時点で123者が掲載されています( https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000028.html )。

保証料は借主負担のため、初期費用や更新時費用を含めて確認します。

賃貸借契約での扱い

家賃保証会社の契約は、借主と保証会社の保証委託契約として締結されるのが一般的です。保証対象は、未払賃料、共益費、更新料、退去時の原状回復費、明渡しまでの損害金など、契約内容によって変わります。

民法上は保証契約の考え方が基礎ですが、事業者による保証サービスである点が個人の連帯保証人と異なります。

保証会社が滞納家賃を立て替えても、借主の支払義務がなくなるわけではありません。借主は保証会社から請求を受けます。国土交通省は、無催告解除や明渡しみなし条項が消費者契約法10条との関係で問題になった最高裁判決を踏まえた注意喚起も行っています。

賃貸住宅管理業法は賃貸住宅管理業務の適正化を定める法律で、保証会社の登録制度とは別レイヤーです。

保証会社の3類型(信販系・LICC加盟系・独立系)

家賃保証会社は、審査で参照する情報の違いから、信販系、LICC加盟系、独立系に分けて説明されることがあります。実際の審査基準は会社ごとの非公開情報を含むため、分類だけで通過可否を断定することはできません。それでも、過去のクレジットカード延滞、家賃滞納歴、収入証明の出し方を考えるときの整理軸になります。

信販系は、オリコ、ジャックス、エポス、アプラスなど、クレジットカードや信販事業と近い会社が扱う保証です。CICやJICCなどの信用情報を照会することがあり、クレジットカード、携帯端末分割、ローンの延滞や異動情報があると不利になりやすい傾向があります。家賃をカード決済や口座振替と組み合わせるプランも多く、毎月手数料型の設計になることがあります。

LICC加盟系は、一般社団法人全国賃貸保証業協会(LICC)に加盟する会社を指します( https://jpg.or.jp/ )。Casa、フォーシーズなどが例として挙げられます。ただし、LICCは2026年4月1日に代位弁済情報データベースの運用終了を告知しているため、過去の「加盟会社間で家賃滞納情報を共有する」という説明は、契約時点の最新運用を確認する必要があります。加盟の有無だけで審査結果を予測しすぎない方が安全です。

独立系は、信販会社の信用情報照会を前提にしない保証会社です。日本セーフティ、JID、ナップなどが代表例として挙げられます。信用情報に不安がある場合でも、収入、勤務先、緊急連絡先、家賃と収入のバランス、自社の利用履歴で判断されるため、比較的柔軟に見える場面があります。一方で、初回保証料が高め、更新料や月額手数料が別にかかるプランもあります。

類型信用情報滞納情報共有審査傾向保証料相場
信販系CIC・JICC等を照会する場合ありクレジット系履歴を重視カード事故やローン延滞があると不利月額賃料の1〜2%程度の月額型もある
LICC加盟系原則として信用情報機関照会とは別LICCの最新運用を要確認過去の家賃滞納歴が説明課題になりやすい初回50%・更新1万円程度が多い
独立系原則なし会社ごとの自社履歴中心比較的柔軟だが総合判断初回50〜100%・更新1万円程度が多い

国土交通省「家賃債務保証の現状」でも、民間保証会社の例として初回月額家賃50%、次年度以降1万円などの料金例が示されています( https://www.mlit.go.jp/common/001153371.pdf )。ただし、登録制度や業界団体は料金を一律に定めるものではありません。募集図面の「保証会社利用必須」だけで判断せず、どの会社のどのプランかを確認します。

連帯保証人・敷金との違い

区分支払・負担する人保証範囲生活上のトラブル対応確認点
家賃保証会社借主が保証料を支払う金銭債務が中心原則として直接の指導役ではない保証料、更新料、求償方法
連帯保証人親族などの個人借主債務全般契約上、連絡・是正協力を求められやすい極度額、責任範囲
敷金借主が貸主へ預ける未払債務の担保対応機能はない控除後の返還、精算内訳
内容証明差出人が郵送費を負担保証ではない通知の証拠化に使う強制回収の手段ではない

敷金は貸主に預ける金銭で、保証会社は保証サービスです。敷金がゼロでも保証会社利用が必須の物件はあり、逆に敷金があっても保証会社を求められることがあります。借地借家法は更新や解約のルールを定めますが、保証料の支払い条件は保証委託契約を確認します。

保証会社は、保証委託契約で定めた未払賃料、共益費、更新料、退去時の原状回復費、短期解約違約金などの金銭債務を対象にします。範囲はプラン次第です。

一方、連帯保証人は借主と近い立場で契約上の責任を負うため、騒音、ゴミ出し違反、近隣トラブル、無断転貸、ペット飼育違反などで貸主や管理会社から連絡を受けることがあります。生活上の是正協力まで期待される点が実務上の差です。ホームメイトの解説でも、連帯保証人は借主と同等の支払い義務を負うと説明されています( https://www.homemate.co.jp/chintai-article/contract/020/ )。

具体例

家賃保証会社の利用に該当する例:

  • 連帯保証人を立てず、保証会社加入を条件に契約する
  • 初回保証料として月額賃料等の50%程度を支払う
  • 年1万円程度の更新保証料、または月額保証料を支払う
  • 借主の滞納時に保証会社が貸主へ立て替える
  • 退去時の借主負担原状回復費が保証対象に含まれる
  • 登録家賃債務保証業者一覧で事業者情報を確認する

家賃保証会社だけでは解決しない例:

  • 経年劣化まで借主負担にする請求
  • 契約書にない礼金や仲介手数料の請求
  • 保証会社が賃貸借契約を自由に終了させる扱い
  • 退去費用の内訳が示されないまま求償される
  • 保証料の総額を説明されず、更新時に初めて費用を知る
  • 内容証明を送っただけで債務が消えると考えること

保証料は、初回に月額賃料等の0.5か月から1か月程度、更新時に年1万円程度または月額保証料を設定する例があります。金額は初期費用明細と保証委託契約書で確認します。

保証会社の審査基準

保証会社の審査では、本人確認、収入、勤務先、勤続年数、雇用形態、家賃と収入のバランス、過去の家賃滞納履歴などが見られます。信販系では信用情報を確認する場合があり、独立系でも申込内容、緊急連絡先、自社利用履歴、反社会的勢力でないことを総合して判断します。

収入面では、家賃が手取り収入に対して重すぎないかが見られます。月収の3分の1を超える家賃は必ず落ちるという単純な基準ではありませんが、固定費が大きい、雇用が不安定、勤続期間が短い、賞与前提で月々の支払い余力が薄いと判断されると不利です。個人事業主、フリーランス、転職直後、内定者は、課税証明、確定申告書、内定通知書、預金残高、雇用契約書などで支払い能力を補います。

本人確認では、申込書の住所、勤務先、年収、緊急連絡先に矛盾がないかを見ます。電話確認に出ない、折り返しが遅い、勤務先に在籍確認が取れない、緊急連絡先が連絡不能といった事務的な理由でも審査が止まります。急いでいる申込みほど、提出資料の不足と連絡不通が大きな減点になります。

過去の滞納がある場合は、どの種類の滞納かを分けます。クレジットカードやローンの延滞は信販系で不利になりやすく、家賃滞納や保証会社への未払いは同じ保証会社や関連する審査で問題になりやすいです。携帯料金そのものの遅れより、端末分割代金の延滞が信用情報に出る点も見落とされがちです。

審査に落ちた場合、理由が詳細に開示されないこともあります。まず申込書の誤記、提出資料不足、本人確認の未対応を直します。そのうえで、連帯保証人を併用できるか、月額賃料を下げた物件に変えるか、収入証明を厚く出せるか、別保証会社を使える物件に変更できるかを検討します。信販系で落ちた場合は独立系の保証会社を扱う物件、家賃滞納履歴がある場合は滞納解消後の資料を出せる物件を優先するのが現実的です。

管理会社に相談するときは、「どの保証会社で落ちたか」「連帯保証人を立てられるか」「初期費用を増やして敷金を厚くできるか」「入居日を遅らせて給与明細を追加提出できるか」を具体的に伝えます。審査に不安がある人ほど、複数物件へ同時に雑に申し込むより、事情を説明できる仲介会社で候補を絞る方が通りやすくなります。

保証料2年総額シミュレーション

保証料は「初回だけ安い」または「月額は小さいが長く続く」など、見え方が変わります。比較するときは、契約開始から2年間の総額で見ると判断しやすくなります。ここでは、プランAを初回50%・更新年1万円、プランBを初回100%・更新年1万円、プランCを月額1.5%として試算します。更新保証料は2年間で2回発生する前提です。

月額賃料プランA 2年総額プランB 2年総額プランC 2年総額
6万円5.0万円8.0万円約2.2万円
8万円6.0万円10.0万円約2.9万円
10万円7.0万円12.0万円約3.6万円
12万円8.0万円14.0万円約4.3万円

プランAは初回0.5か月分に更新料1万円を2回足した金額、プランBは初回1か月分に更新料1万円を2回足した金額、プランCは月額賃料の1.5%を24か月支払う計算です。実際には、保証対象に共益費や駐車場代を含める、口座振替手数料を毎月加える、更新料が1年ごとではなく2年ごとになるなどの差があります。

家賃8万円の物件で、初期費用だけを見ると月額型のプランCは軽く見えます。ただし、3年、4年と住む場合は月額型の累計が増えます。反対に初回100%型は入居時の負担が重く、短期解約では割高になりやすい設計です。礼金や仲介手数料と同じく、戻らない費用として総額比較するのが実務です。

求償と回収対応への苦情事例

保証会社が貸主へ立て替えた後、借主には求償請求が来ます。立替えは免除ではなく、請求先が貸主から保証会社へ移るだけです。払えない場合は、分割払いの相談、支払予定日の連絡、請求内訳の確認を早めに行います。

国土交通省は、令和4年12月12日の最高裁判決を踏まえ、無催告解除条項や明渡しみなし条項について注意喚起しています( https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000024.html )。督促や請求根拠に疑問があるときは、家賃債務保証事業者協議会の相談窓口も確認します( https://www.jpm.jp/hoshou/about/index.html )。

実務上のポイント

借主は、保証会社名、保証料の計算基準、初回・更新・月額の費用、解約時の返金有無を確認します。仲介手数料などと合算すると、同じ家賃でも2年総額が変わります。

貸主にとっては、滞納リスクの低減、入居対象者の拡大、督促業務の軽減が利点です。一方で、保証範囲の不足、更新漏れ、回収対応への苦情はリスクになります。

管理会社は、本人確認と契約条件の説明を丁寧に行う必要があります。保証会社を使っていても、退去時の原状回復では通常損耗や経年劣化を借主負担から外して精算します。

保証会社の選択は、賃貸借契約の長期的なコスト構造を左右します。初回保証料と更新保証料、月額保証料の有無、求償時の対応窓口、苦情処理の経路を、契約前に管理会社経由で確認しておくと、入居後のトラブル予防につながります。

関連法令・出典

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