賃貸の更新料とは?相場・支払いタイミング・払えない場合の対処まで完全ガイド

賃貸の更新料は、契約期間を延ばすときに借主が貸主へ支払う一時金です。首都圏では「2年ごとに家賃1ヶ月分」という形を見かけますが、全国共通の法律で金額が決まっているわけではありません。地域の慣習、物件の募集条件、契約書の書き方によって、必要な物件と不要な物件があります。

更新料で大切なのは、「請求されたから払う」「高いから払わない」と単純に決めないことです。契約書に条項があるか、金額が明確か、更新時期と支払期限はいつか、更新事務手数料や保証会社更新料と混ざっていないかを分けて確認します。退去を迷っている場合は、更新料だけでなく解約予告期間も同時に見ないと、余計な家賃が発生することがあります。

更新料とは

契約更新に伴う一時金

更新料は、賃貸借契約の期間満了後も同じ部屋に住み続けるため、契約を更新する場面で発生する費用です。実務上は、貸主に支払う「更新料」と、管理会社や仲介会社に支払う「更新事務手数料」が分けて記載されることがあります。名前が似ていても、支払先と性質が違います。

居住用賃貸では、2年間の普通借家契約を結び、満了時に更新する形が多く使われます。契約書に「更新時、借主は新賃料の1ヶ月分を更新料として貸主に支払う」といった条項があれば、その定めが出発点になります。民法91条は、法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思表示をしたときは、その意思に従うという考え方を置いています。更新料も、契約上の合意として扱われるのが基本です。

ただし、契約書に何も書かれていないのに、更新直前になって突然請求された場合は別です。更新料は法律で当然に発生する費用ではありません。契約書、重要事項説明書、更新合意書、更新案内に根拠があるかを確認してください。

賃借権設定の対価としての慣習

最高裁平成23年7月15日判決は、更新料について、賃料の補充、更新拒絶権放棄の対価、賃借権強化の対価などの性質を含むものとして整理しています。難しく見えますが、実務では「その部屋に住み続ける契約上の利益に対して支払う一時金」と理解すると判断しやすくなります。

この性質から、更新料は毎月の家賃のように日割りで消費される費用とは扱われにくいです。更新後すぐに退去しても、契約書に返還規定がなければ、全額返還を求めるのは簡単ではありません。更新後の退去を考えている場合は、賃貸の更新後すぐに退去で返還可否と違約金を分けて確認してください。

更新料は、入居中に急に意識する費用になりがちです。入居申込時は敷金、礼金、仲介手数料、前家賃に目が向き、2年後の更新費用まで家計に入れていない人が少なくありません。長く住む予定なら、契約前の段階で「2年後にいくら必要か」を確認し、毎月の家賃に均して考えると負担を見誤りにくくなります。

更新料の最高裁判決と消費者契約法10条

最高裁は更新料条項を直ちに無効としていない

更新料の有効性でよく参照されるのが、最高裁平成23年7月15日判決です。この判決は、更新料条項について、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載されており、金額が賃料額、契約期間、更新期間などに照らして高額に過ぎるなど特段の事情がない限り、消費者契約法10条により無効とはいえないという考え方を示しました。

つまり、「更新料は違法だから払わなくてよい」という単純な話ではありません。契約書に明確な記載があり、家賃1ヶ月分程度など一般的な範囲に収まる場合、支払い義務が認められやすいのが実務の出発点です。

一方で、どんな金額でも有効という意味でもありません。説明が不十分、契約書の記載が曖昧、更新料が家賃数ヶ月分で更新期間とのバランスを欠く、更新事務手数料や短期解約違約金と重なって負担が大きい、といった事情があれば、消費者契約法10条や民法90条の観点で検討する余地があります。

消費者契約法10条で見るポイント

消費者契約法10条は、民法などの任意規定より消費者の義務を重くし、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定です。更新料で問題になるのは、借主が契約時にその負担を具体的に理解できたか、金額が契約期間や賃料に比べて過大でないか、他の費用と重複していないかです。

借主側で確認すべき資料は、契約書、重要事項説明書、募集図面、更新案内、請求書です。契約書に「更新料あり」とだけ書かれ、金額や計算方法が不明な場合は、管理会社へ根拠条項と計算式を求めます。

条項の有効性を争う場合でも、支払期限を無視して放置するのは危険です。まず書面で内訳と根拠を確認し、必要なら消費生活センターや弁護士へ相談します。更新料が高すぎると感じる場合の具体的な進め方は賃貸更新料が高すぎる場合で整理しています。

更新料の相場

家賃1ヶ月分が中心

首都圏の居住用賃貸では、更新料は家賃1ヶ月分とされる物件が多く見られます。たとえば家賃8万円なら更新料8万円、家賃12万円なら更新料12万円という形です。契約によっては0.5ヶ月分、1.5ヶ月分、2ヶ月分とされることもあります。

相場を見るときは、更新料だけでなく更新期間も合わせて見ます。2年契約で1ヶ月分なら、2年間住み続けるための一時金として理解しやすい一方、1年契約で2ヶ月分などになると、年あたりの負担は重くなります。単に「何ヶ月分か」だけでなく、「何年ごとに発生するか」を確認してください。

また、更新時には更新料以外の請求も重なります。更新事務手数料、保証会社更新料、火災保険料、24時間サポート費用、口座振替手数料などです。請求書の総額が高いときは、どれが貸主に支払う更新料で、どれが別契約の更新費用なのかを分けます。地域別・月額家賃別の詳しい目安は賃貸更新料の相場で扱っています。

高いかどうかは総額で見る

家賃1ヶ月分の更新料でも、同時に更新事務手数料0.5ヶ月分、保証会社更新料1万円、火災保険料2万円が加われば、更新月の支出は大きくなります。家賃8万円の物件で、更新料8万円、事務手数料4.4万円、保険料2万円、保証会社更新料1万円なら、家賃とは別に15万円前後の支払いになります。

「更新料が高い」と感じたときは、まず請求項目を一覧にします。項目名、支払先、金額、消費税の有無、根拠条項、支払期限を表にすると、交渉できる部分と契約上支払いが必要な部分を分けやすくなります。

家賃が同じ2物件を比べるときも、更新料の有無で長期総額が変わります。家賃9万円で更新料1ヶ月分の物件に6年住むと、通常は2回の更新で18万円の更新料が発生します。更新料なし物件の家賃が月2,000円高い場合、6年の家賃差は14.4万円です。この条件なら、更新料なし物件のほうが総額で低くなる可能性があります。反対に、月5,000円高ければ6年で36万円の差になり、更新料なしのメリットは小さくなります。

支払いタイミング

更新案内は満了日の1〜2ヶ月前に届くことが多い

更新料の請求は、契約満了日の1〜2ヶ月前に更新案内として届くことが多いです。案内には、更新料、更新事務手数料、火災保険料、保証会社更新料、更新合意書の返送期限、支払方法が書かれています。郵送、メール、入居者アプリ、管理会社のWeb画面など、通知方法は物件により異なります。

支払期限は、更新日前日まで、更新日の数週間前まで、更新書類の返送期限までなどさまざまです。口座振替の場合は、家賃と同じ口座から自動で引き落とされることがあります。退去を迷っている段階で放置すると、更新料が引き落とされた後に返還交渉をすることになりやすいです。

更新通知を受け取ったら、次の4つの日付を書き出してください。更新日、更新料支払期限、更新書類返送期限、解約通知の最終受付日です。退去を選ぶ余地があるなら、賃貸の更新前に退去する判断で解約予告期間から逆算します。

書類提出と支払いの順番を確認する

更新手続きでは、更新合意書を返送してから支払う場合もあれば、先に振込を求められる場合もあります。電子契約では、署名完了と同時に更新手続きが進むことがあります。署名前に退去可能性があるなら、「署名後に退去した場合の更新料返還可否」を確認しておくと後の争いを減らせます。

管理会社に確認するときは、「更新料の発生日はいつか」「更新日前に解約通知を出した場合は請求されるか」「支払い後に退去が決まった場合の返還規定はあるか」を具体的に聞きます。電話で回答を受けたら、メールで確認を残してください。

支払い方法にも注意が必要です。振込なら、振込名義、振込手数料、入金期限を確認します。口座振替なら、引落日と請求停止の期限を確認します。クレジットカード払いの場合、決済後の返金処理に時間がかかることがあります。退去予定があるのに自動決済されると、後から返金交渉や充当処理が必要になります。

地域別の慣習

首都圏は更新料ありの物件が多い

東京、神奈川、千葉、埼玉では、更新料ありの物件が多く、家賃1ヶ月分という条件もよく見られます。募集図面には「更新料: 新賃料1ヶ月」「更新事務手数料: 0.25ヶ月」などと記載されます。契約時に初期費用へ意識が向き、2年後の更新費用を見落としやすいため、入居前から確認しておくことが重要です。

更新時に賃料改定がある場合、「旧賃料の1ヶ月分」なのか「新賃料の1ヶ月分」なのかも確認します。契約書に「新賃料」とあるなら、更新後の家賃が上がった場合、更新料も増える可能性があります。

関西圏は更新料なしも多い

大阪、兵庫、奈良などでは、首都圏に比べて更新料なしの物件が多い傾向があります。ただし、京都では更新料の慣習が残る物件もありますし、関西だから必ず不要というわけではありません。物件ごとに募集条件と契約書を確認します。

更新料なし物件は、更新時の一時支出を抑えやすい反面、月額家賃、礼金、保証料、短期解約違約金など別の条件で調整されていることがあります。更新料なし物件の見方は更新料なし物件のメリット・デメリットで詳しく説明しています。

地方都市では、首都圏型の1ヶ月分、関西型の更新料なし、定額制が混在します。転勤で別地域へ移る場合、前の地域の感覚をそのまま使うと判断を誤ります。内見時には「この地域では一般的ですか」と聞くだけでなく、同じエリアの複数物件で更新条件を見比べてください。

更新料以外の更新時費用

更新事務手数料

更新事務手数料は、更新書類の作成や事務手続きに対して、管理会社や仲介会社に支払う費用として記載されることがあります。更新料が貸主へ支払う費用であるのに対し、更新事務手数料は手続きの対価という位置づけです。

金額は定額、0.25ヶ月分、0.5ヶ月分などさまざまです。消費税が加算されることもあります。更新料と更新事務手数料が両方ある場合は、二重に見えても根拠が別の費用として請求されていることがあります。契約書や重要事項説明書に記載があるかを確認してください。

火災保険と保証会社

火災保険は2年契約で加入していることが多く、賃貸借契約の更新時期と同じタイミングで更新になることがあります。保険料は保険会社へ支払うもので、更新料とは別です。退去予定があるのに保険を更新してしまった場合、未経過期間の返戻金があるかは保険会社に確認します。

保証会社更新料も別契約です。年1万円、月額賃料の一定割合など、保証会社によって条件が違います。賃貸借契約の更新料を減額できても、保証会社更新料は別に必要になる場合があります。請求書に総額だけが書かれているときは、必ず内訳を求めます。

払えない場合の対処

支払期限前に相談する

更新料を一括で払えない場合は、支払期限を過ぎる前に管理会社へ連絡します。相談内容は、分割払い、支払猶予、支払日の変更、更新事務手数料の減額、保証会社更新料や保険料の支払い順序です。単に「払えません」と伝えるより、「○月○日に半額、○月○日に残額を支払いたい」と具体案を出したほうが検討されやすくなります。

無断で支払いを止めると、遅延損害金、督促、保証会社への連絡、契約解除の検討につながるおそれがあります。更新料の有効性に疑問がある場合でも、争点を書面で示し、回答を求める形にします。

引越しと比較する

更新料が重い場合、引越しを検討する人もいます。ただし、引越しには新居の初期費用、引越し代、退去費用、旧居の解約予告期間中の家賃がかかります。更新料8万円を避けるために、初期費用40万円の物件へ移るなら、短期的には支出が増えることもあります。

比較するときは、今の物件に2年住み続ける総額と、新居へ移る総額を並べます。現在の家賃、更新料、更新事務手数料、保険料、保証会社更新料、新居の家賃、初期費用、引越し代、退去費用を入れます。数字にすると、更新するほうがよいのか、引越すほうがよいのかを判断しやすくなります。

退去する場合は、更新料を避けることだけを優先しないでください。解約予告が1ヶ月前や2ヶ月前なら、通知が遅れるほど最終家賃が増えます。新居審査の結果を待っている間でも、現在の契約でいつまでに通知すれば更新日前に解約できるかを確認しておくと、選択肢を残せます。


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更新料、更新事務手数料、退去費用が重なって判断に迷う場合は、賃貸リフォーム研究所の無料見積もりシミュレーションをご利用ください。請求書の項目確認はお問い合わせフォームから受け付けています。

出典・参考文献

よくある質問

更新料はいくらが相場ですか?
首都圏では家賃1ヶ月分が中心で、契約によって0.5ヶ月分、1.5ヶ月分、2ヶ月分などもあります。関西圏や一部の地方では更新料なしの物件も珍しくありません。相場だけで判断せず、契約期間、更新事務手数料、保証会社更新料、火災保険料まで含めた更新時の総額を確認してください。
更新料は必ず払う必要がありますか?
法律で一律に決まった費用ではありませんが、契約書や重要事項説明書に更新料条項が明確にあり、金額も高額に過ぎない場合は、支払い義務が認められやすいです。最高裁平成23年7月15日判決も、特段の事情がない限り更新料条項を直ちに無効とはしていません。まず契約書の記載を確認します。
更新料はいつ払いますか?
多くは契約満了日の1〜2ヶ月前に更新案内が届き、更新日まで、または更新書類の返送期限までに支払います。支払期限は物件ごとに違い、口座振替や保証会社経由で自動請求される場合もあります。退去を迷っているときは、支払期限と解約通知期限を同時に確認してください。
関西では更新料がない物件もありますか?
関西圏では、首都圏に比べて更新料なしの物件が多い傾向があります。ただし、すべての物件で不要という意味ではなく、京都など更新料の慣習が残る地域や、管理会社の方針で設定される物件もあります。更新料なしでも、月額家賃や保証料が高めに設定されることがあるため総額比較が必要です。
更新料が払えない場合はどうすればよいですか?
支払期限を過ぎる前に管理会社へ連絡し、分割払い、支払猶予、更新事務手数料との内訳確認を相談します。無断で払わずに放置すると、遅延損害金や保証会社への連絡につながることがあります。退去も検討するなら、解約予告期間と更新料発生日を確認し、費用が増えない順番で動いてください。

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