退去立会いに必要なもの【借主向け持参リスト】鍵・契約書・入居時写真の準備手順

監修

賃貸リフォーム研究所 編集部

原状回復・退去費用の専門メディア

賃貸物件の原状回復・退去費用トラブルに関する正確な情報発信を行う編集チーム。国土交通省ガイドラインや民法の規定に基づき、退去者・管理会社双方の視点から解説記事を制作。

退去立会い必要なものは、鍵や印鑑だけではありません。借主が自分を守るためには、契約書、入居時写真、現況確認書、スマートフォン、メモ用具をそろえ、当日に指摘された損耗を記録できる状態にしておくことが大切です。「退去立会い 印鑑 忘れた」と当日になって気付くケースも多いため、印鑑が用意できない場合の代替策(署名対応など)も後半で解説します。

なお、当サイトには管理会社向けの退去立会いチェックリストもあります。そちらは担当者の業務手順を整理した記事です。本記事は借主向けに、当日持参するもの、部屋ごとの確認ポイント、サイン前に見る書類を整理します。

退去立会いは、敷金精算や原状回復費用の前提資料が作られる場面です。準備不足のまま臨むと、通常損耗や入居前からあった傷まで借主負担に見えやすくなります。

借主向け持ち物チェックリスト

退去立会いの持ち物は、必須、推奨、任意の3層で考えると漏れを防げます。必須は、立会いそのものや鍵返却に必要なものです。推奨は、精算トラブルの予防に役立つもの。任意は、部屋の状態や契約内容によって持っていくと便利なものです。

区分持ち物使う場面
必須鍵全数部屋、郵便受け、宅配ボックス、駐輪場などの返却
必須賃貸借契約書特約、退去時費用、原状回復条項の確認
必須印鑑または署名できる筆記具引渡し確認書などの記入。印鑑を忘れた場合は署名で代替できる管理会社が多い
必須本人確認書類本人確認や代理人確認を求められた場合
必須スマートフォン・カメラ指摘箇所、全体写真、書類控えの記録
推奨入居時写真・現況確認書既存傷との比較
推奨メモ用具担当者名、指摘箇所、説明内容の記録
推奨メジャー傷や張替え範囲の大きさ確認
推奨懐中電灯収納内、浴室、ベランダ、夕方の確認
任意家賃領収書・振込履歴未払い家賃の誤認を避ける
任意修理依頼のメール入居中に報告済みの不具合を示す

鍵は「自分が使っていた鍵」だけでなく、契約時に受け取った本数をすべて確認します。合鍵、カードキー、宅配ボックスカード、機械式駐車場のリモコン、駐輪場の鍵なども対象になり得ます。返却漏れがあると、鍵交換費や再訪の手間が発生することがあります。

契約書は、クリーニング費、鍵交換費、短期解約違約金、原状回復特約を確認するために使います。退去費用の負担範囲は、民法621条と国土交通省ガイドラインだけでなく、契約書の特約も関係します。

本人確認書類は、管理会社から明示されていない場合でも持参しておくと安心です。代理人が立ち会う場合は、借主本人の委任状、代理人の本人確認書類、当日連絡が取れる電話番号を求められることがあります。本人確認ができないために鍵返却や書類交付が後日に回ると、精算開始も遅れます。

メモ用具は紙でもスマートフォンでも構いません。ただし、立会い中に電話が入る、電池が減る、写真撮影で画面を切り替えるといったことがあるため、紙のメモを1枚持っておくと実務上は楽です。担当者名、指摘箇所、説明された負担理由、後日送られる書類名を書ければ十分です。 控えを受け取った書類は、その場で写真にも残します。

前日までに済ませる準備

立会い当日は、部屋の確認に集中できる状態を作っておくことが大切です。荷物が残っていると、床や壁、収納の奥を確認できません。引っ越し作業の遅れが予想される場合は、立会い時刻を余裕のある時間に変更できないか管理会社へ相談します。

清掃は、専門業者のような仕上がりを目指す必要はありません。ただし、明らかなゴミ、食品残り、排水口の髪の毛、キッチンの油汚れ、浴室の石けんカスは落としておきます。汚れと損傷が混ざると、担当者の指摘が広がりやすくなります。

ライフラインの停止手続きも確認します。電気を止めると室内が暗く、写真や設備確認に支障が出ることがあります。水道やガスは、設備動作確認が必要な場合に影響するため、停止時刻を立会い後にできるか確認してください。

入居時の写真や現況確認書は、スマートフォンですぐ見せられるようにまとめます。紙の書類しかない場合は、該当箇所だけ写真に撮っておくと便利です。既存傷の説明は、その場で見せられるかどうかで説得力が変わります。

退去前日の確認では、残置物の扱いにも注意してください。カーテン、照明器具、物干し竿、洗濯機パン周辺の部品、エアコンのリモコンなどは、契約上の設備なのか自分の所有物なのかを確認します。置いていくつもりがない物を残すと処分費を請求されることがあり、反対に設備を誤って持ち出すと返却や弁償の話になります。

前日までの準備確認内容
荷物搬出収納、ベランダ、洗濯機置き場まで空にする
清掃水回り、床、キッチン、換気扇周辺を整える
写真整理入居時と退去時を比較できるようにする
鍵確認本数、付属キー、カード、リモコンをそろえる
予定確認引っ越し業者、管理会社、移動時間を確認する

退去日の全体工程は賃貸の退去の流れも参考になります。解約通知から精算書確認までを一つの流れとして見ると、当日に慌てにくくなります。

部屋ごとの確認ポイント早見表

退去立会いでは、担当者任せにせず、借主も部屋ごとに確認します。国土交通省ガイドラインは、通常損耗・経年劣化と、借主の故意・過失による損傷を分けて考える枠組みを示しています。指摘を受けたら、どちらに当たるのかを確認してください。

場所見るポイント借主が確認すること
玄関ドア、鍵、靴箱、床の傷入居時からの傷か、鍵の本数は合うか
リビングクロス、床、巾木、窓周り日焼けや家具跡が通常損耗に近いか
キッチン油汚れ、換気扇、コンロ、排水汚れと故障を分けて説明できるか
浴室カビ、水垢、鏡、排水、換気扇清掃不足か設備劣化か
トイレ便器、床、換気扇、ペーパーホルダー破損と通常使用の汚れを分ける
各居室壁、床、収納、建具画鋲穴、家具跡、引っかき傷の程度
ベランダ排水口、物干し、床、防水層私物やゴミが残っていないか

クロスの小さな画鋲穴、家具を置いた跡、日照による変色は、一般に通常損耗・経年劣化として扱われやすい項目です。一方、タバコのヤニ、ペットの爪傷、結露を放置して広がったカビ、大きな穴や破損は借主負担になりやすくなります。

判断に迷う箇所は、国交省ガイドライン解説原状回復義務を後で照合できるように、写真とメモを残します。「その場で言い負かす」より、記録を残して書面で確認するほうが冷静に進められます。

印鑑を忘れたときの対処

退去立会い当日に印鑑を忘れたと気付いた場合でも、立会い自体を中止する必要はないことがほとんどです。署名で対応できる管理会社が多く、引渡し確認書や鍵受領書は記名・署名でも事務処理が進められます。

ただし対応は管理会社や書類の種類で変わるため、当日の流れは次のように整理してください。

最優先で、印鑑なしで立会いを進めてよいかを担当者に確認します。「印鑑を忘れたのですが、署名で代替できますか」と聞き、可否を記録します。

印鑑なしで進める場合は、署名と記名(フルネーム)の両方を求められることがあります。書類によっては、当日署名のみ済ませて、後日押印のために控えを郵送する方法もあります。

印鑑が必要だと言われた場合は、書類の控えを受け取って、押印は後日にしてもらえないか相談します。急いで認印を買いに走るより、書類の中身を持ち帰って確認する時間を作るほうが、不当な請求を防ぎやすくなります。

シャチハタ(インク内蔵式の認印)でも受け付ける管理会社もありますが、不可の場合もあるため、契約時にもらった書類で押印された印影と同じものを使うのが基本です。実印・印鑑証明書は退去立会いで通常は不要です。

当日もらう書類とサイン前の確認

退去立会いでは、立会い確認書、引渡し確認書、鍵受領書、原状回復見積書、敷金精算書などを渡されることがあります。名称は管理会社により異なりますが、サインする前に内容を分けて確認します。

立会い確認書は、室内の状態や指摘箇所を記録する書類です。事実確認の書類であれば、損耗箇所が正しく書かれているかを見ます。借主負担に同意する文言が入っている場合は、金額や根拠を確認するまで保留してかまいません。

引渡し確認書は、退去日、鍵返却、残置物の有無を確認する書類です。鍵返却の本数、返却したカードやリモコン、明渡し時刻を記録しておくと、後日の行き違いを防げます。

原状回復見積書や敷金精算書がその場で出る場合は、部位、数量、単価、借主負担割合、経年劣化控除を確認します。「原状回復一式」のように大きくまとめられていると検証しにくいため、内訳明細を求めます。

書類確認する点
立会い確認書指摘箇所、写真番号、借主負担の文言
引渡し確認書鍵返却、残置物、退去日
鍵受領書鍵の種類と本数
原状回復見積書部位、数量、単価、負担割合
敷金精算書敷金額、控除額、返還額、振込予定

サインに迷う場合は、無理にその場で結論を出す必要はありません。詳しくは賃貸退去立会いサイン拒否で、保留してよいケースと書面回答の流れを整理しています。

写真撮影のポイント

写真は、退去立会いで最も使いやすい証拠です。損耗箇所だけを撮るのではなく、部屋全体、位置が分かる写真、近接写真の3種類を残します。近接写真だけでは、後からどの部屋のどの場所か分からなくなることがあります。

撮影は、玄関から時計回りに進めると漏れが少なくなります。各部屋で、入口からの全体写真、壁面ごとの写真、床、天井、水回り、収納の中を撮ります。傷や汚れがある場所は、メジャーや指を添えて大きさが分かるようにします。

時刻情報も大切です。スマートフォンの写真には撮影日時が記録されますが、クラウド共有や加工で情報が変わることがあります。必要に応じて、撮影日のメモを写し込んだ写真も残してください。

入居時写真がある場合は、同じ角度で退去時写真を撮ります。入居前からあった傷、設備不具合、床のへこみ、クロスの汚れは、比較写真があると説明しやすくなります。

立会い中に担当者が指摘した箇所は、その場で自分も撮影します。担当者が撮った写真を借主が必ず受け取れるとは限りません。精算書が届いてから、どの請求がどの写真に対応するのか確認できるようにしておきます。

退去費用に不安がある場合は、退去費用に納得いかないときで、写真と明細を使った確認手順を確認してください。

よくある質問

印鑑を忘れたら退去立会いはできませんか?

署名で対応できる管理会社もあります。印鑑が必要かは事前に確認してください。忘れた場合でも、書類の内容に納得できないなら、急いで押印するためだけに再訪する必要はありません。控えを受け取り、後日確認して回答する方法があります。

入居時写真がない場合はどうすればよいですか?

退去時の写真をできるだけ広く残します。入居時写真がなくても、損耗の種類、位置、経年劣化の有無、契約書の特約、入居年数をもとに検討できます。修理依頼メールや管理会社への過去連絡があれば、既存不具合の資料になります。

鍵を一部なくした場合は立会いで何を伝えるべきですか?

紛失した鍵の種類と本数を正直に伝え、鍵交換費の有無と金額根拠を確認します。鍵交換が借主負担になるかは、契約書の特約、紛失の事情、管理会社の対応で変わります。請求された場合は、鍵交換費の内訳明細を求めてください。

関連記事

出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2026-04-28確認)、e-Gov法令検索「民法」(民法621条、622条の2、400条 / 2026-04-28確認)、e-Gov法令検索「消費者契約法」(10条 / 2026-04-28確認)


立会いで指摘された箇所の費用感を確認したい方は、賃貸リフォーム研究所の無料見積もりシミュレーションをご利用ください。写真と損耗箇所を整理しておくと、概算確認や問い合わせがスムーズになります。

出典・参考文献

よくある質問

退去立会いに必要な持ち物は何ですか?
鍵全数、賃貸借契約書、印鑑または署名できる筆記具、本人確認書類、スマートフォンやカメラは必ず用意します。加えて、入居時写真、現況確認書、メモ用具、メジャー、懐中電灯があると、指摘箇所の記録や既存傷との比較がしやすくなります。宅配ボックスカードや駐輪場の鍵、駐車場リモコンも返却対象になり得ます。当日までに本数をそろえます。
入居時の写真はなぜ重要ですか?
入居時写真や現況確認書は、退去時に指摘された傷や汚れが入居前からあったものかを説明する証拠になります。スマートフォンですぐ見せられるよう整理し、紙の書類だけなら該当箇所を撮影しておくと便利です。同じ角度の退去時写真と比較できれば、既存傷かどうかの説得力が高まり、争点化を防ぎやすくなります。その場で見せられる状態が大切です。
退去立会い用のチェックリストはどう作りますか?
必須、推奨、任意の持ち物に分けたうえで、玄関、リビング、キッチン、浴室、トイレ、各居室、ベランダのように部屋ごとに確認項目を並べます。鍵の本数、壁や床の傷、水回りの汚れ、残置物、設備の有無を記録できる形にしておくと、担当者任せにならず確認漏れを防げます。写真番号や説明内容の欄もあると後で確認しやすくなります。
立会いまでに準備すべき書類は何ですか?
賃貸借契約書、入居時写真、現況確認書、修理依頼のメール、家賃領収書や振込履歴を確認します。契約書ではクリーニング費、鍵交換費、短期解約違約金、原状回復特約を見ます。代理人が立ち会う場合は、委任状、代理人の本人確認書類、借主本人と連絡が取れる電話番号も求められることがあります。書類は紙かスマートフォンで当日すぐ出せる状態にします。
退去立会い当日に忘れがちなものはありますか?
普段使っていない合鍵、カードキー、宅配ボックスカード、駐輪場や駐車場の鍵、機械式駐車場のリモコンは忘れやすいものです。エアコンのリモコン、照明器具、物干し竿、洗濯機パン周辺の部品が設備か私物かも確認します。電気を早く止めると室内確認や写真撮影に支障が出る点にも注意が必要です。控えを受け取った書類は写真でも残します。

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