敷金・礼金の相場はいくら?地域別・間取り別・物件タイプ別の目安【2026年版】

賃貸物件を探していると、同じ家賃帯でも「敷金1ヶ月・礼金1ヶ月」「敷金なし・礼金2ヶ月」「保証金あり・敷引きあり」など、初期費用の条件が大きく違うことがあります。

敷金・礼金の相場は、全国一律に決まっているものではありません。地域の慣習、間取り、築年数、物件グレード、入居需要、ペット可否などで変わります。ただし、住居用賃貸の実務では、敷金は家賃の1〜2ヶ月分、礼金は家賃の1ヶ月分を中心に考えると、募集条件を比較しやすくなります。

この記事では、敷金・礼金の公的統計で確認できる月数、首都圏・関西・中部・地方都市の見方、間取り別・物件タイプ別の注意点、敷金礼金なし物件の構造、初期費用の仮想シミュレーションを整理します。敷金と礼金の性質の違いを先に確認したい方は、敷金と礼金の違いを徹底解説もあわせて参照してください。

敷金・礼金の全国平均相場

「全国平均の相場」として説明されることが多いのは、敷金が家賃の1〜2ヶ月分、礼金が家賃の1ヶ月分という目安です。ただし、公的統計で直近の詳細な月数を確認できる国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」は、民間賃貸住宅について三大都市圏を対象にした調査です。そのため、この記事では全国一律の断定ではなく、三大都市圏の統計値と各地域の募集慣行を分けて見ます。

同報告書の民間賃貸住宅に関する経年変化比較表では、令和6年度の三大都市圏で、敷金・保証金があった世帯は57.7%、礼金があった世帯は42.6%です。敷金・保証金の月数は「1ヶ月ちょうど」が61.7%で最も多く、「2ヶ月ちょうど」が17.4%でした。礼金の月数も「1ヶ月ちょうど」が65.0%で最も多く、「2ヶ月ちょうど」は12.2%です。

この結果から、統計上も「敷金・保証金は1ヶ月が中心で、2ヶ月も一定数ある」「礼金は1ヶ月が中心」と読むのが自然です。募集条件を見比べるときは、敷金2ヶ月や礼金2ヶ月が直ちに不当という意味ではなく、地域・物件タイプ・退去時条件とセットで確認する必要があります。

費用項目三大都市圏で多い月数読み方
敷金・保証金1ヶ月ちょうどが最多、2ヶ月ちょうども一定数退去時精算の預り金として設定されやすい
礼金1ヶ月ちょうどが最多返還されない一時金として初期費用に影響する

敷金は民法622条の2に基づき、未払い家賃や借主負担の原状回復費用を控除した残額が返還対象になります。一方、礼金は原則として返還されません。相場を見るときは、金額の多寡だけでなく「戻る可能性がある費用か」「戻らない費用か」を分けて考えてください。

地域別の相場 — 首都圏 / 関西 / 中部 / 地方都市

地域差を見るときは、まず「敷金・礼金」という名称で出る地域と、「保証金・敷引き」という名称が残る地域を分けると理解しやすくなります。

首都圏では、敷金・礼金ともに1ヶ月を中心にした募集が多く見られます。国土交通省の令和6年度調査でも、首都圏は敷金・保証金ありが67.3%、礼金ありが49.0%でした。月数では、敷金・保証金は1ヶ月ちょうどが64.6%、礼金は1ヶ月ちょうどが64.0%です。人気駅、築浅、設備の良い物件では礼金が残りやすい一方、築年数が経った物件や空室対策物件では礼金なしもあります。

関西圏では、敷金・礼金という表示だけでなく、保証金、敷引き、償却といった表記に注意が必要です。令和6年度調査の近畿圏では、敷金・保証金ありが48.4%、礼金ありが41.9%で、敷金・保証金の月数は1ヶ月ちょうどが60.0%、2ヶ月ちょうどが21.3%でした。関西では「預ける金額」だけでなく「敷引きで返らない金額」を確認することが重要です。詳しくは敷金と保証金の違いとは敷金償却(敷引き)とはで整理しています。

中部圏では、敷金・保証金の設定が地域慣行として残る物件があります。令和6年度調査の中京圏では、敷金・保証金ありが37.8%、礼金ありが20.0%でした。敷金・保証金の月数では1ヶ月ちょうどが45.5%、2ヶ月ちょうどが33.3%で、三大都市圏全体より2ヶ月設定の比率が高く出ています。礼金は、設定されている物件では1ヶ月ちょうどが多いものの、礼金そのものがない募集も多く見られます。

地方都市は、国交省の同調査だけでは一括した統計値を置けません。仙台・福岡のような地方中核都市では、中心部、築浅、転勤需要のある物件で礼金が残ることがある一方、築年数やエリアによっては敷金礼金なしの募集も目立ちます。都市名だけで「高い・安い」と判断せず、同じ駅距離、築年数、間取り、設備で複数物件を比較してください。

間取り別の相場

敷金・礼金は家賃の月数で表示されるため、同じ「1ヶ月」でも間取りが広いほど実額は大きくなります。ワンルームの敷金1ヶ月と、ファミリー向け3LDKの敷金1ヶ月では、退去時に預けている金額も、原状回復費用の想定範囲も違います。

単身向けのワンルーム・1Kでは、競争が強いエリアほど初期費用を抑える募集が出やすくなります。学生、若手社会人、短期転居の需要が多い地域では、礼金なし、敷金なし、フリーレントなどを組み合わせて入居ハードルを下げる物件があります。その代わり、退去時クリーニング費の定額負担や短期解約違約金が設定されていないかを見てください。

1LDK・2DKは、単身でも二人暮らしでも使われる間取りです。築浅、駅近、在宅勤務に向く設備がある物件では、礼金が残りやすくなります。敷金については、部屋数が増える分、退去時のクリーニングや補修範囲も広がるため、敷金なしの場合は退去時の請求が別途発生する前提で資金を見ておく必要があります。

2LDK以上のファミリー向けでは、入居期間が長くなりやすく、子どもや家具による損耗も想定されるため、敷金が厚めに設定されることがあります。ペット可物件では、通常の敷金とは別にペット飼育時の増額や償却が設定されることもあります。敷金が多いか少ないかだけではなく、ペットによる傷や臭いの扱い、クリーニング費、原状回復範囲を契約前に確認してください。

物件タイプ別の相場(一般賃貸・分譲賃貸・タワーマンション)

一般的な賃貸マンション・アパートでは、敷金1ヶ月、礼金1ヶ月を基準に、築年数や需要に応じて増減する募集が多く見られます。築古物件や空室期間が長い物件では、礼金なしや敷金礼金なしで募集されることがあります。反対に、新築・築浅、駅近、設備が充実した物件では、礼金が残りやすくなります。

分譲賃貸は、もともと分譲マンションとして作られた住戸を賃貸に出すタイプです。設備仕様、共用部、管理体制が一般賃貸より充実している一方、貸主が個人オーナーであることも多く、募集条件にばらつきがあります。普通借家か定期借家か、更新可否、原状回復範囲、設備故障時の対応を含めて確認してください。

タワーマンションや高級賃貸では、敷金2ヶ月、礼金1〜2ヶ月のような条件を見かけることがあります。これは、家賃水準が高いことに加え、設備・内装・共用部のグレードが高く、貸主側が滞納や損傷リスクを厚めに見ているためです。ただし、募集条件は物件ごとに異なります。高級物件だから当然に高い、敷金が高いから不利、とは決めつけず、退去時に返還対象となる金額と、返還されない礼金・償却を分けて見てください。

物件タイプを問わず、退去時の原状回復ルールは民法621条と国土交通省ガイドラインの考え方が土台になります。通常損耗や経年劣化まで借主負担にされていないかは、国交省ガイドライン解説で確認できます。

敷金礼金なし物件が増えている背景

敷金礼金なし物件は、契約時の支払いを軽く見せる効果があります。引っ越し代、前家賃、仲介手数料、火災保険料、保証会社利用料が重なる時期に、敷金と礼金が0円であれば、入居者にとって検討しやすくなります。

ただし、敷金礼金なしは「住み始めから退去まで安い」と同義ではありません。敷金は本来、退去時の未払い家賃や原状回復費用に備える預り金です。敷金がなければ、退去時クリーニング費や借主負担の修繕費は、退去後に別途請求される可能性があります。敷金が返ってこない場合の考え方は敷金が返ってこないときの対処法を参照してください。

また、敷金なしの代わりに、家賃保証会社への加入が必須になっていることがあります。保証会社利用料、更新保証料、短期解約違約金、退去時定額クリーニング費などを合算すると、契約時だけ安く、総額では大きな差が出ない場合もあります。

礼金なしについても同じです。返還されない一時金がない点は有利ですが、その分が家賃や管理費に織り込まれている可能性があります。2年以上住む予定なら、礼金ありで家賃が低い物件の方が総額で抑えられるケースもあります。

初期費用シミュレーション(仮想例3つ)

ここでは、家賃8万円の物件を借りる仮想例として、初期費用の見え方を比較します。実際の金額は地域、契約開始日、保険料、保証会社、鍵交換、クリーニング特約で変わるため、契約前には見積書で確認してください。

仮想例募集条件初期費用の考え方
A敷金1ヶ月・礼金1ヶ月敷金8万円は退去時精算の対象、礼金8万円は返還なし
B敷金なし・礼金なし契約時は軽いが、退去時クリーニング費や修繕費を別途払う可能性
C敷金2ヶ月・礼金1ヶ月初期費用は重いが、敷金16万円のうち精算後の残額は返還対象

Aは標準的に見える条件ですが、礼金は戻りません。退去時に借主負担が少なければ、敷金の一部または全部が返還される可能性があります。

Bは初期費用を抑えやすい一方、敷金がないため退去時に手元資金から支払う可能性があります。短期解約違約金がある場合、早く退去すると総額が重くなることもあります。

Cは契約時の支払いが大きいものの、敷金は預り金です。高級物件、ペット可、ファミリー向けなど、損耗リスクを見込む物件では、敷金が厚く設定されることがあります。退去費用の一般的な見方は退去費用の相場ガイドで確認できます。

初期費用は、敷金・礼金だけで判断しないでください。仲介手数料、前家賃、日割り家賃、共益費、火災保険料、保証会社利用料、鍵交換費、クリーニング費の前払いまで含めて、契約時にいくら出ていくかを見ます。そのうえで、敷金のように返還可能性がある費用と、礼金や仲介手数料のように戻らない費用を分けると、比較がしやすくなります。

敷金・礼金が高い物件の交渉余地

敷金・礼金が高いと感じた場合でも、すべての物件で交渉できるわけではありません。人気物件や繁忙期の募集では、条件変更に応じにくいことがあります。一方、空室期間が長い物件、入居日が近い物件、築年数が経っている物件では、礼金、フリーレント、入居開始日、設備交換などの調整余地がある場合があります。

交渉しやすいのは、返還されない礼金です。敷金は退去時精算の担保という意味があるため、貸主側が下げにくいことがあります。礼金を下げられない場合でも、フリーレント、鍵交換費、入居開始日の調整で実質的な初期負担を抑えられることがあります。

敷金や保証金が高い物件では、月数よりも返還条件を確認してください。保証金に敷引きや償却が含まれる場合、退去時に戻らない金額が大きくなります。敷引きがある物件では、預ける総額、償却額、返還対象額を紙に書き出すと判断しやすくなります。

交渉時は「相場より高いから下げてほしい」だけでは弱くなります。同じ駅、同じ築年数、同じ間取り、同程度の設備の募集条件を複数示し、礼金や敷金の条件がどう違うかを確認したうえで相談してください。

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契約前に総額と返還額を分けて見る

敷金・礼金の相場を見るときは、家賃の月数だけで判断しないことが大切です。敷金は返還可能性がある預り金、礼金は返還されない一時金です。同じ「1ヶ月」でも、退去時に戻る可能性があるかどうかで意味が変わります。

契約前には、初期費用を「返ってくる可能性がある費用」「返ってこない費用」「退去時に追加される可能性がある費用」に分けてください。敷金、礼金、保証金、敷引き、仲介手数料、前家賃、火災保険料、保証会社利用料、退去時クリーニング費を同じ表に並べると、安く見える物件と本当に総額を抑えられる物件を区別しやすくなります。

退去時の精算額に不安がある方は、賃貸リフォーム研究所の無料見積もりシミュレーションで、部位別の費用感を確認できます。契約書や精算書の見方について個別に相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。

出典: 国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(民間賃貸住宅、問19、三大都市圏の敷金・保証金および礼金の有無・月数)、民法621条(賃借人の原状回復義務)、民法622条の2(敷金)、民法400条(善管注意義務)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年8月)、消費者契約法10条

出典・参考文献

よくある質問

敷金・礼金の全国的な相場はどのくらいですか?
国交省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」の三大都市圏では、敷金・保証金の月数は「1ヶ月ちょうど」が61.7%で最多、「2ヶ月ちょうど」が17.4%でした。礼金も「1ヶ月ちょうど」が65.0%で最多です。実務でも敷金は家賃の1〜2ヶ月分、礼金は1ヶ月分を中心に考えると比較しやすくなります。ただし金額の多寡だけでなく、戻る可能性がある費用か戻らない費用かを分けて見てください。
敷金礼金なし物件は本当にお得ですか?
契約時の支払いを軽くする効果はありますが、住み始めから退去まで安いとは限りません。敷金がなければ退去時クリーニング費や借主負担の修繕費は別途請求され、家賃保証会社加入が必須になっていることもあります。短期解約違約金、家賃そのものの上乗せ、定額クリーニング費を合算すると、契約時だけ安く総額では差が出ない場合があります。居住予定期間全体で比較するのが現実的です。
関西圏の相場はどう違いますか?
近畿圏では敷金・保証金ありが48.4%、礼金ありが41.9%で、敷金・保証金の月数は1ヶ月ちょうどが60.0%、2ヶ月ちょうどが21.3%です。さらに「保証金3〜6ヶ月+敷引き家賃数ヶ月」という関西特有の慣習があり、預ける総額だけでなく敷引きで返らない金額の確認が重要になります。関東の「敷金1ヶ月・礼金1ヶ月」とは初期費用の見え方も退去時の返還額も大きく違います。
敷金・礼金は交渉できますか?
すべての物件で交渉できるわけではなく、人気物件や繁忙期は条件変更に応じにくい傾向があります。空室期間が長い物件、入居日が近い物件、築年数が経った物件では、礼金・フリーレント・入居開始日・設備交換などの調整余地がある場合があります。交渉しやすいのは返還されない礼金で、敷金は退去精算の担保のため貸主側が下げにくい傾向です。同条件の他物件を提示すると話が進みやすくなります。
初期費用全体の目安はどのくらいですか?
敷金・礼金だけでなく、仲介手数料、前家賃、日割り家賃、共益費、火災保険料、保証会社利用料、鍵交換費、クリーニング費の前払いまで合算する必要があります。家賃8万円の物件なら、敷礼1ヶ月ずつでも初期費用は40万円前後になります。返還可能性がある費用(敷金)と戻らない費用(礼金・仲介手数料)を分けて把握すると、本当に総額を抑えられる物件を見極めやすくなります。

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