フローリング補修・張替えの単価相場

費用相場 8,000〜15,000円/㎡
耐用年数 建物耐用年数

フローリングの補修・張替えは、賃貸物件の原状回復で高額になりやすい工事項目です。部分補修で済むのか全面張替えが必要かによって、費用は大きく変わります。

フローリング補修・張替えの費用相場

工事内容単価備考
部分補修(リペア)10,000〜30,000円/箇所小さな傷・凹みの補修。専門業者が樹脂やパテで修復
重ね張り(上張り)8,000〜10,000円/㎡既存の床の上に新しいフローリングを張る
張替え(新規)10,000〜15,000円/㎡既存の床を撤去して新しいフローリングを張る
無垢材フローリング15,000〜20,000円/㎡高級物件で使われる天然木材

部屋別フローリング張替え費用早見表

フローリング張替えは、床面積と工法、床材グレードで総額が変わります。下表は複合フローリングを基準に、材料費、施工費、既存床の撤去、廃材処分を含めた概算です。無垢材を選ぶ場合は、材料費と施工手間が増えるため1.5〜3倍程度を見込む必要があります。

部屋・範囲床面積目安複合フローリング張替え費用目安
6畳10㎡60,000〜180,000円
8畳13㎡80,000〜240,000円
10畳16㎡100,000〜300,000円
LDK 16畳26㎡160,000〜480,000円
3LDK全室50㎡500,000〜1,500,000円

国土交通省のリフォーム価格資料では、畳からフローリングへの改修など、部位別リフォーム費用の目安が整理されています。実際の賃貸物件では、遮音等級、既存床の状態、巾木交換の有無、家具移動、マンション管理規約によって見積もりが変わります。出典: https://www.mlit.go.jp/common/000145917.pdf

見積もりを見るときは、床面積だけでなく「撤去費」「下地補修」「巾木交換」「廃材処分」「養生」「諸経費」が含まれているかを分けます。単価が安く見えても、撤去費や巾木が別計上なら総額は上がります。賃貸の原状回復では、傷がある部屋だけを対象にするのが基本です。3LDK全室の見積もりが出ている場合でも、損傷が1室だけなら、他室まで借主負担にできる根拠を確認する必要があります。

また、床材の防音性能はマンションで特に重要です。管理規約にL-45、LL-45などの遮音等級が定められていると、一般的な安価品を使えない場合があります。遮音フローリングは材料費が上がりやすく、専用接着剤や下地処理も必要です。管理会社は発注前に規約を確認し、借主への精算では「管理規約上必要な仕様」と「借主の過失による復旧範囲」を分けて説明します。

張替え工法vs重ね張り工法のコスト比較

フローリング工事は、既存床を撤去して張り替える方法と、既存床の上に新しい床材を重ねる方法に分かれます。張替えは下地まで確認できるため仕上がりと耐久性を確保しやすい一方、撤去と廃材処分が加わります。6畳で15〜18万円、工期は3〜5日程度が目安です。

重ね張りは、撤去を抑えられるため低コストで短工期です。6畳で8〜12万円、工期は1〜2日程度に収まることがあります。空室期間を短くしたい管理会社にとっては使いやすい工法ですが、既存床の床鳴りや沈み込みは解消しにくく、ドア下のクリアランス不足、敷居や廊下との段差、巾木まわりの納まりが問題になります。

マンションでは、管理規約で遮音等級が定められていることがあります。既存の遮音床を剥がす工事が制限され、重ね張りや指定床材が推奨される場合もあります。発注前に管理規約、施工可能時間、共用部養生、エレベーター使用ルールを確認してください。

張替え工法が向いているのは、床が沈む、下地が腐食している、水濡れで合板が膨れている、既存床の接着が弱っているケースです。表面だけを重ねても不具合が残るため、短期的には安く見えても再施工になりやすくなります。重ね張りが向いているのは、既存床が平滑で、床鳴りがなく、ドアや収納扉の下に十分な余裕があるケースです。退去後の短い空室期間で見た目を整えたい場合に相性があります。

工期も費用に直結します。張替えは撤去音が出やすく、マンションでは作業時間が平日昼間に限定されることがあります。共用廊下やエレベーターの養生、廃材搬出の手間も増えます。重ね張りは廃材が少ない一方、段差見切り材やドア調整が必要になることがあります。見積書では、工法名だけでなく、既存床をどこまで残すのかを確認してください。

無垢フローリングvs複合フローリングの費用差

賃貸物件で多いのは、合板の表面に化粧材を貼った複合フローリングです。材料費は5,000〜15,000円/㎡程度で、施工費込みでは6畳12〜18万円がひとつの目安です。反りや収縮が少なく、色柄のばらつきも小さいため、退去後の部分補修や同等品調達がしやすい点が管理上の利点です。

無垢フローリングは、天然木をそのまま使うため材料費が10,000〜30,000円/㎡程度まで上がります。施工費込みでは6畳20〜40万円になることがあり、下地調整、含水率管理、塗装、メンテナンスも費用に影響します。樹種別では、オークは比較的使いやすく、メープルは明るく硬め、ウォルナットは高級感がある一方で高額、チークは耐水性が高いものの材料費が上がりやすいです。

無垢材のメリットは、足触り、経年変化、研磨再生のしやすさです。デメリットは、湿度による収縮、反り、隙間、シミの残りやすさです。賃貸物件では、入居者の使い方によってメンテナンス差が出やすいため、標準住戸には複合フローリング、高賃料帯や長期入居を見込む住戸には無垢または挽き板フローリングという使い分けが現実的です。

退去精算では、無垢材だから常に高額請求できるわけではありません。借主が負担するのは、故意・過失で損傷した範囲の復旧費です。日照による色変化、通常使用による細かな擦れ、ワックスの劣化は貸主負担が原則です。無垢材のシミや凹みでも、研磨や部分補修で回復できるなら、全面張替えではなく補修費を基準にします。特殊材を採用している物件では、入居時に素材名、メンテナンス方法、禁止事項を説明しておくことがトラブル防止になります。

間取り別の張替え費用目安

間取り床面積目安張替え費用目安
ワンルーム13〜20㎡104,000〜300,000円
1K〜1DK20〜30㎡160,000〜450,000円
1LDK〜2DK30〜45㎡240,000〜675,000円
2LDK45〜60㎡360,000〜900,000円

経年劣化控除の扱い

フローリングは国交省ガイドラインで「建物耐用年数に準じる」とされています。クロス(6年)やカーペット(6年)とは異なり、経過年数による減価が緩やかです。

木造住宅の場合は耐用年数22年、RC造マンションの場合は47年が基準になります。入居6年程度では残存価値が大幅に残っているため、借主負担の割合が高くなりやすい項目です。

ただし、毀損部分の補修で足りる場合は、その部分についてのみ借主負担とするのが原則です。

借主負担になるケース

  • 重い家具を引きずった際の傷
  • ペットの爪による傷
  • 物を落として生じた凹み・割れ
  • 水をこぼして放置したことによるシミ・膨れ
  • キャスター付き椅子による過度な傷

借主負担にならないケース

  • 家具の設置による軽微な凹み(通常損耗)
  • 日照による変色
  • フローリングワックスの劣化

管理会社向けの実務ポイント

  1. 部分補修(リペア)で対応可能かを最初に検討する。リペア業者の技術は年々向上しており、目立たない仕上がりが期待できる
  2. 張替えの場合は「部屋単位」が通常。隣の部屋まで張り替える必要はない
  3. 入居時の床材の品番・グレードを記録しておく。退去時に「同等品」での復旧がスムーズになる
  4. 写真撮影は入居時・退去時の両方で行い、損傷の有無を客観的に示せるようにする

フローリング張替え費用を抑える4つのテクニック

フローリング工事は単価が高いため、全面張替えを前提にすると退去精算が膨らみます。費用を抑えるには、損傷範囲、工法、床材、発注条件を分けて検討します。

  1. 重ね張り工法を選ぶ。既存床の撤去を省けるため、張替えより30〜40%程度コストを抑えられることがあります。ただし、段差や床鳴りがある物件には向きません。
  2. 量産複合フローリングを選ぶ。高級材や無垢材に比べて50〜70%安くなることがあります。賃貸物件では同等品での復旧が原則のため、入居時より過剰なグレードにしないことも大切です。
  3. 部分張替えやリペアで対応する。傷が1〜2箇所なら、6畳全面張替えより60〜70%安く収まることがあります。色差が出る場合は、張替え範囲を部屋単位ではなく施工上必要な範囲に限定します。
  4. 複数社で相見積もりを取る。同じ床材品番、施工面積、巾木交換の有無、廃材処分をそろえて比較すると、平均15〜25%程度の差が出ることがあります。

賃貸物件では、借主が直接業者を入れるのではなく、管理会社経由で範囲と仕様を確認するのが原則です。管理会社側は、床材品番と施工写真を残しておくと、次回退去時のリペア判断がしやすくなります。

相見積もりを取る際は、各社に同じ条件を渡します。「6畳張替え」だけでは、撤去あり、重ね張り、巾木交換あり、家具移動ありなど前提がばらつきます。既存床の写真、床面積、マンション規約、希望床材、施工期限、駐車条件を共有し、同じ内訳で比較してください。管理会社がオーナーへ説明する場合も、安い業者名だけでなく、工法と保証範囲を並べると判断しやすくなります。

よくあるトラブル事例と対処

国民生活センターには毎年、退去時の原状回復費用に関する相談が多数寄せられています。フローリング関連の典型的な事例を整理します。

事例1: 入居5年で退去した借主に、部屋全体のフローリング張替え費用30万円が請求された。実際の損傷はキャスター付き椅子による傷が1ヶ所のみ。ガイドラインの「毀損部分の補修費用を借主負担とすることが望ましい」という原則に基づき、リペアで対応可能な範囲(2万円程度)まで減額された。

事例2: 入居2年で水漏れによりフローリングが膨れたが、原因が給湯器の経年故障だった。設備の経年劣化に起因する損傷は貸主負担となるため、借主への請求は取り下げられた。漏水原因の切り分けは退去精算で重要な論点になる。

請求金額の妥当性に疑問がある場合、消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」を踏まえ、明細の根拠提示を求めることが対処の第一歩です。

出典・参考文献

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